ポケマル、食べチョク、産直アウルを徹底比較します。
産直ECについて
産直ECは、生産者と消費者を直接つなぐプラットフォームです。野菜に特化した楽天と言えば分かりやすいでしょうか。
生産者と消費者の間に業者が入っていないため、手に届くまでの時間が短く、最短で出荷した翌日に消費者の手に届きます。そのため鮮度の影響を受けやすい農産物を購入するのに最適と言えます。また、スーパーに並ばない固定種の伝統野菜や特殊な栽培をした農産物など、様々な物が出品されています。
市場の拡大とともに、参入事業者も増えてきましたので、各社の違いを解説します。
全体の比較
各社の比較表を次に示します。各サービスで違いのあるところのみ抜粋しています。
サービス | ![]() | ![]() | ![]() |
サービス開始日 | 2017年8月 | 2016年9月 | 2019年12月 |
登録生産者数 | 3,000以上 | 4,500以上 | 1,000以上 |
販売者(審査) | 農家のみ (食べチョク基準) | 農家のみ (専従者の証明) | 農家・自治体等 (制約のみ) |
特色 | オーガニック志向が強い | 交流システムに注力 | 道の駅、自治体からの出品 |
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各産直ECで決定的な差というはありません。欲しい農作物、推し生産者が見つかればそこで購入する、というのでいいと思います。
目的の農産物として、オーガニックを探すなら食べチョク、自治体や道の駅などから購入したい場合は産直アウル、それ以外はポケマルでいいでしょう。あまり注目されていませんが、花の販売もあるので食品以外で花屋にない花をお求めの場合はこれらのサービスで探す、という使い方もありです。
大まかな差はこれくらいです。次はそれぞれのサービスを紹介します。
食べチョク
食べチョクは、栽培方法やオーガニック(有機)といった「こだわり」を持った生産者を集めた産直ECで2017年8月からサービス開始しました。食べチョクが主に扱うオーガニック(有機)は環境負荷の少ない農法で、認められた資材しか使うことができず、JAS認証という国からの認定を受けた農業者しか表示することができません。ヌルい規格ではなく、生半可な気持ちでは取得できないというのが農家の率直な感想です。
一方でオーガニック(有機)と同じような意味合いで「農薬・化学肥料不使用」といったものも存在しております。こちらは自己申告ですので本当に農薬や化学肥料を使っていないのか、誰も保証できません。そのため、無農薬とオーガニックが同一と勘違いされ、ちゃんと管理してコストを負担して認証を受けた業者が不利を受ける場合があります。プロの生産者しか登録できず、食べチョク基準を設けているため、趣味で作っている怪しい人の登録できません。
農薬や化学肥料を使っていないオーガニックをお求めの場合は、有機JAS認証を受けた生産者から購入しましょう。環境負荷の少ない野菜を通してSDGsに貢献するのもありです。
ポケマル
ポケマルはポケットマルシェと呼ばれる産直ECサイトで2016年9月からサービスが開始されました。今回比較した産直ECの中で最も長く運営されており、登録生産者数、商品数では他の産直ECを上回ります。
ポケマルへの出品は、食べチョクと同様に農家であることが必須です。例えば、畑を借りて趣味で栽培している人は出品することはできません。事業として生計を立てている農家でなければ審査で弾かれてしまいます。
農家であれば出品できるので、オーガニックにとらわれずに先進的な農業をしている生産者や異なる「こだわり」を持った方も数多く登録しています。登録生産者数も多いので、まずはポケマルで農産物を探してみてはいかがでしょうか。
産直アウル
産直アウルは2019年にサービスを開始した比較的新しい産直ECです。そのため、商品数や登録者数は他の産直ECに比べ少なくなっています。
一方で他の産直ECとは異なる登録者として、自治体や道の駅が多数出店しています。農家以外にも開かれているのには理由があり、運営会社がふるさと納税事業で地方自治体との繋がりがあるためです。自治体や道の駅が出店すると、地域の特色ある農産物がまとまって出品されるので、購入する側にが選びやすいという点も魅力があります。
ただし、農家の出店登録に審査がなく、事前の申告だけなので自治体や道の駅以外からの購入には不安が残ります。今後、審査は厳しくなることを望みます。
他のネット通販
他の産直ECはいくつかあります。例えばメルカリは農業者の出品が禁止されていましたが、今は調べてもよくわからなくなっており、農家に見えるアカウントからの出品もされています。
メルカリは登録に審査がありません。農薬の使用履歴、入手経路、反社の出品、すべて不明です。誰も保証してくれません。口に入る物なので、このような出品者の経歴が不明な物、出品されたした物の履歴も不明なものはどうなんでしょうね。農作物を作る側からすると、こういった場所での購入は避けるべきと考えます。
産直ECを利用するメリット・デメリット
メリット
メリットは3つです。
まず、鮮度。生産者と消費者の距離にもよりますが、出荷すれば翌日に消費者の家に届くため鮮度が抜群です。鮮度が命の枝豆やアスパラガスでも収穫の翌日までに調理すれば味の低下はほとんどありません。間に業者が入っていないことの大きなメリットと言えます。
次に生産者が野菜の紹介をしている点です。どうやって育てたのか、オススメの食べ方など、農家ならではの解説がされています。スーパーではここまで詳しく書かれていることは稀です。
さいごに品種や流通していない作物を買える点です。現在、スーパーに並ぶ農作物は、硬く流通に向く形質の野菜が大部分を占めています。一方で柔らかく流通に適さない農作物や固定種といった流通しない野菜や珍品が簡単に見つかります。
デメリット
デメリットはひとつだけ。コストです。送料がかかるため、間に業者が入っていないにも関わらずトータルはそこまで安くなりません。
安く買いたい人には不向きのサービスです。しかし、美味しい農産物や高品質の物が抜群の鮮度で家まで届くと思うとそこまで悪い物ではないと思います。
産直ECの選び方
どの産直ECを利用しても違いはありません。
特に目的がなければポケマル、オーガニックなら食べチョク、自治体や道の駅なら産直アウルといった感じで選んでみてはいかがでしょうか。
産直ECの登場で好きな農産物は品種や農家の指名買いがしやすくなりました。美味しくてお気に入りの物があれば是非利用してみてください。
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