野菜の過剰包装

こんにちは清水園芸です。

野菜や果物をスーパーや小売店で買うとき、透明な袋に入れられていることが多いです。一見、過剰包装に見えますが、実は工夫がされている野菜専用のものです。今回はこの袋についての豆知識をご紹介します。

目次

野菜用ポリ袋の特徴

スーパーの棚に陳列された野菜は、透明なポリ袋に入れられていると思います。複数個まとめるためだったり、衛生上包装しているように思えます。

実際のポリ袋の目的は、「鮮度保持」です。輸送して販売し消費者の口に入るまでには、収穫からどうしても時間がかかります。収穫後も野菜は生きています。

もし野菜が剥き出しのままだと、時間が経つにつれて水分が失われたりして野菜は萎びてしまい、鮮度が落ち味にも影響します。鮮度の低下を少しでも防ぐための対策のひとつとして、鮮度保持効果の有る出荷袋が開発されています。

具体的な目的により材質が異なり、次のような製品が販売されています。

・水分保持フィルム
・酸素透過フィルム
・エチレン除去材

この中で、生産農家に一番多く使われているのは、水分保持フィルムの一種で「OPPボードン袋」というものです。(※OPP=表面が水分で曇らず・水分を失わせない、機械加工をしたポリプロピレン)

ボードン袋の効果

野菜を入れるのに普通のポリ袋などを使うと、水分が出て袋の内側がすぐに曇ってしまいます。水分が袋の内側につくと、野菜と接触したときに空気の層ができずに野菜が呼吸しずらくなってしまい、鮮度の落ちる原因になります。水分自体が酸素を透過しにくいことも合わさり、鮮度保持が難しくなってしまいます。また、水分が野菜に付いていると傷んで腐る原因にもなってしまいます。

一方、「ボードン袋」を使うと鮮度保持効果は劇的です。袋がパリッとした性質の素材なので、野菜を入れても袋と空間ができて呼吸を邪魔しません。袋の内側は曇らないし、水分を失わせないため、ぐんと野菜が長持ちします。(袋に入れずに大気解放では、数時間で萎れるところ、袋に入れるだけで数日は持ちます)

「ボードン」とは防曇と書き「曇らない」ことをアピールしたネーミングですが、フィルム表面を曇らせないことと鮮度保持効果はセットです。野菜が痛む、腐る原因になる、水滴が出来ないことは重要です。

そのため、ボードン袋は農産物の出荷袋としては農家の定番となっています。生産者農家はできる限り鮮度が良いものを消費者にお届けしようと考えます。鮮度保持効果が高く、比較的値段も安いボードン袋は、農家にとっても消費者にとっても大きな味方といえます。

過剰包装なのか

日本は様々な製品までこれでもかってくらい包装されています。色々なところで「過剰包装」や「資源の無駄遣い」などと言われるくらいです。

しかし、野菜に限って言えば、過剰包装ではありません。ボードン等の鮮度保持袋を使わないと、地方から都市部への輸送に耐えられません。皆さんが思ってる以上に野菜の萎れる速度は速いもので、葉物野菜は特に顕著です。

一見、過剰包装のようで無駄に見えるかもしれませんが、農家やスーパーが行ってるにはちゃんとした理由があります。

おわりに

農産物の包装に使われている袋が、ただの袋ではないことがお分かりいただけたでしょうか。

今回は最も広く使われているボードン袋をメインに紹介しました。それ以上に効果のある特殊な包装材も場合によって使われています。「鮮度保持」「美味しさの長持ち」を追及するならば、コストアップになっても徐々に採用されていくと思います。

消費者のみなさんが次に野菜を買うときは、包装の袋を見て、生産者、メーカー、流通、小売側の思いを感じ取っていただけたらと思います。

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