こんにちは。清水園芸です。
今回は玄米に工夫を施した製品をご紹介。
食物繊維が豊富で柔らかく食べやすい「発芽玄米」
発芽玄米は、玄米に水を吸わせてわずかに発芽させたものです。お米は玄米の状態でも生きています。そのため水を吸わせ一定の温度を保つと芽を出そうとします。この時、含まれている各種の酵素が働き始めて、糖分を分解し芽を伸ばすためのエネルギーに変えたり、アミノ酸が作られます。
発芽玄米はその状態で食用にします。
玄米のぬか層に含まれる栄養素も残しながら、食物繊維が増え、柔らかく食べやすくなります。食物繊維は糖質の吸収を抑える効果があり、糖質制限につながることもポイントです。
炊き方も簡単で、普通の白米と大きく変わりません。味はもちもち感が増えています。
玄米のロウ層を取り除いた「ロウカット玄米」
ロウカット玄米は、東洋ライスが開発しました。玄米の最も外側のロウ層だけを取り除く加工を施しているというものです。玄米はそのままでは吸水が悪いため、炊く前の吸水に時間がかかり、炊きあがった後でぬか層が残るため表面がザラつく原因になります。
もし、玄米の吸水の悪さが改善されれば、目立つ欠点はなくなります。
東洋ライスの技術
東洋ライスでは、玄米の最も外に極薄の「ロウ層」があって、そこが防水性が高く、玄米の吸水性が悪い理由となっているため、このロウ層だけを薄く、均一に取り除く特許製法を開発したと説明しています。
玄米の表面に防水コーティングの層があるようなイメージでしょうか。ロウカット米は、そのコーティングだけをパリッと取り除いているというイメージです。
それができれば、その下の栄養素は完全に失わず理想的と言えそうです。
ロウカット米を実際に購入し炊飯してみると、普通の白米と変わらない炊き方で、やわらかくザラつきなどもないご飯となります。白米ではないので微妙な着色はありますが特に気にはならず、美味しく食べられました。
しかし、お米の構造を考えると少し疑問でロウ層というのはいったいどのもようなものなのでしょうか。
米の構造
お米のつぶの構造を次の図に示します。

一般的に果皮(かひ)、種皮(しゅひ)、糊粉層(こふんそう)をまとめて「ぬか層」としています。
様々な文献を見ても「ロウ層」という言葉は使われていません。ロウカット玄米がいうロウ層とは、図の果皮の部分になる(含まれる)と思われます。果皮は薄い細胞層で、細胞膜があるのでセルロースなどを含みます。このため比較的硬く、外部から細菌や水分が簡単に侵入しないようにガードする層です。
確かに、果皮だけを取り除けばロウカット玄米と近いものになりそうです。
DIYロウカット玄米
実はロウカット玄米と同じではないものの、似たものは作れます。
玄米から、胚乳の外側の層と胚芽を精米で取り除き、デンプンのかたまりの姿にしたものが「白米」です。
その時に取り除いた部分を全て合わせて、いわゆる「米ぬか」と呼んでいます。
お米を精米するとは、外側の層を削っていくことで、胚乳に達したちょうどよい所で削るのをやめると白米になります。
削るのを途中で止めれば分つき玄米になります。
分つき玄米であれば、一番外側の果皮は十分に取り除かれているでしょう。
栄養素の多いぬか層も一部取り除かれてしまいますが、その点にこだわらなければ、ロウカット玄米と同じように吸水が良く、柔らかい玄米が手に入ります。
分つき玄米は従来通りの一般的な精米機で作れますので誰でも作れると言えます。
ロウカット玄米は米粒の表面の滑らかさも重要としています。
一方、今まで通りの一般的な精米機で作った分つき玄米は、どうしても表面が削れてデコボコしてしまいます。
その点は全く及ばず、ロウカット玄米に負けることは間違いありません。
そのかわり、分つき玄米は比較的ローコストで誰でも作れるメリットがあります。
おわりに
玄米は栄養が豊富ではありますが、そのままでは固さがあり、食べにくい、炊飯前に吸水の時間が余計にかかるという欠点がありました。
発芽玄米とロウカット玄米はどちらも欠点を解消して、白米と同じ扱いができて食べやすく、白米と変わらない美味しさの製品です。どちらも特徴がありますが、発芽玄米は食物繊維が増えているところ、ロウカット玄米は白米と同じ扱いで毎日食べることにも抵抗ないうえに、玄米そのままの栄養素が取れるところがポイントと言えそうです。
どの製品も、かつての玄米の悪い点を解消したうえ、玄米の良いところをしっかり頂ける工夫を凝らしたものです。
昔ながらの玄米の悪いイメージはもはや忘れてよく、全く新しいお米製品です。
お米の栄養素を余すところなく摂取できる玄米食、若い世代も、高齢の方にも、ぜひお試し頂きたいものです。
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