今では苗から作る農家が減りましたが、当プロジェクトでは苗作りから行っています。今回は海老名の米ができるまでを紹介します。
はじめに
米がどうやってできるのかご存知でしょうか。
親戚に農家はいるけれど、実際の作業も詳しく知っているという方はあまりいません。
そこで今回は米作りの流れと海老名の米事情について解説します。
米作りの流れ
大まかな流れは次の通りです。
1.田起こし、代かき
一冬越した田んぼの土は、乾燥してとても固くなっています。この土に稲を植えられる状態にする作業が田起し、代かきです。
どちらもトラクターで耕します。
田起こしは乾燥して固くなった田んぼの土を耕し細かく砕き、代かきは田起し後に水を張った田んぼで土を泥状にして田んぼ内の水深を一定にする作業です。
ちなみに海老名ではトラクターで耕すことを「うなう」といいます。
2.苗作り
手作業で田植えを行っていた時代は長めの苗が好まれました。機械化が進んだ現代では、苗は短く揃ったものが必須です。
苗半作という言葉があるくらい苗作りは労力がかかります。また、いい苗を用意することが米の出来にも影響するので、苗作りは稲作で特に重要な作業です。
苗作りの主な流れは、塩水選び、浸種(しんしゅ)、播種(はしゅ)、育苗(育苗)となります。
いきなり籾を巻いて苗作りするわけではなく、質のいい籾(種)を選び発芽させ苗にする工夫が必要です。
例えば、籾を塩水に浸して中身がスカスカのものを取り除き、沈んだいい籾だけを使うといった格好です。
詳細な苗作り、今年の稲作の写真を合わせた別記事にするので後日紹介します。
3.田植え
言わずと知れた日本の春の風物詩。米農家にとっては一大イベントです。機械で植えられる大きさまで育苗した稲を植えていきます。
4.育成
育成は水の管理と草刈りが主な作業です。
海老名でもモグラが出るため水抜けていないか常にチェックする必要があります。また、草刈りをサボると雑草の種が田んぼに広がり翌年蔓延するので小まめな作業が必要です。
稲の品種にもよりますが、海老名では7-8月にかけて稲の穂がでます。稲の花は半日しか咲かないので中々見ることができません。もし、偶然に見れたらかなり幸運でしょう。
育成中は、1日だけ水を抜き中干しと呼ばれる操作をします。この作業によって根に酸素を入れ倒れにくい強い稲にすることができます。
5.収穫
9月半ばには登熟して稲穂が垂れてきます。ここまでくれば収穫間近です。
9月下旬から10月中の晴れて稲が乾燥している日に収穫します。
雨の日や濡れている状態だとくっついて機械の故障や品質の低下が起こるため収穫できません。決して雨で農家が濡れるのが嫌だから収穫をしないという理由ではないです。
6.乾燥、籾すり
収穫した稲は籾殻が付いた状態です。これを籾すりし玄米の状態にして保存、出荷します。
脱穀するためには乾燥機で所定の水分以下までの乾燥が必要です。乾燥が不十分だと米が割れてしまい品質が低下します。
以上が米作りの流れです。
海老名の田植えが遅い理由
色々な方から田植え遅くない?なんで?って問い合わせをいただきます。
これには明確な理由があります。
田んぼに張る水は、海老名上流の相模原にある磯部頭首工から取水します。この水は例年4月中旬から取水されますが、海老名の田んぼで利用できるようになるのが6月上旬からとなります。
田植えが遅い理由はこのためです。
おわりに
ちょっと長くなりましたが、稲作の流れ、海老名の稲作事情は以上です。
現在、稲の苗は農協が販売してくれるため、苗から作る農家は減ってしまいました。労力がかかりますが、非常にやりがいのある作業です。また、自分の好みの品種を作れるので流通しにくい米を作れるのみ魅力です。
コメント