こんにちは。清水園芸です。
今回はレタスの話の続編、我が日本や、中国、東南アジアのレタスについて解説します。
はじめに
レタスといえば名前からしても西洋の野菜というイメージですが、東洋にも在来品種があります。東洋のレタスは姿かたちや食べ方も西洋系とは違っているし、栽培に適した気候も異なり日本でも栽培に適しています。
レタスの歴史、東洋への伝播
レタスはキク科の植物で、地中海の辺りが原産地です。
一説には最も古い葉物野菜とされ4000年ぐらい前から食べられていたようです。ローマ人の大好物だったそうですが、その頃のレタスは玉レタスではなく、ロメインレタスのようなものだと思われます。(ロメインレタス=ローマ人のレタス、という意味だとか)

このレタスがおそらくシルクロードを通って中国に伝わり、チシャと呼ばれて栽培が始まりました。
そのチシャが品種改良で変化しながら、中国大陸南方、台湾、東南アジアへと栽培が広がっていったようです。例えば中国では、カキチシャとステムレタスという品種があります。
日本の在来レタス
日本にも平安時代にレタスは伝わりました。当時は、シルクロードを通して中国大陸から伝わったため、チシャと呼ばれていました。
古来の日本では、丸ごと収穫せず、葉を下から書き取って長期利用するカキチシャと呼ばれる物が生産されていました。焼肉で肉を巻くサンチュのようなレタスで、普段目にする玉レタスやロメインレタスとも違った形なのが容易に想像できます。
また、ステムレタスも日本で栽培されていました。ステムレタスはカキチシャの茎を利用するようになったもので、「山くらげ」と呼ばれ乾物や漬物として販売されています。コリコリした食感の山くらげが、まさかレタスの茎だったとは、想像もつかないものです。
中国南方や台湾のレタス
カキチシャの系統に似た油麦菜(A菜、麦レタス)があります。これはパンや穀物のような香りがする面白いレタスで、近年あちらでは人気があり高級品だとか。
清水園芸で麦レタスと呼んで栽培しているのがこちらです。

他に、もっと西洋レタスのような、リーフレタスのようなチシャ類もたくさんの在来品種があるようです。小型のリーフレタスやロメインレタスに似たものから、もっと大きく半結球の玉レタスに近いようなものもあります。
ロメインレタスのようなものは沖縄にも在来で栽培されています。
東洋で栽培し易いレタス
紹介したレタスはごく一部ですが、朝鮮半島などのかなり寒い地域から、台湾、東南アジアなど温かい地域まで在来品種があり、東洋の気候に適応したレタスだと言えます。
特に、西洋系レタスでは一般に冷涼な気候が適しているとされるのに、東洋系レタスはかなり温暖で湿度も高い地域で栽培されている品種があるのが注目です。
日本の玉レタスの栽培は高冷地が主産地で、他の地域では本来は適していないものを苦労して作っている面があります。しかし、東洋系レタスを日本で栽培すれば、もっと楽にレタスが栽培できるかもしれません。
まとめ
レタスは古くから東洋に伝わった野菜で、日本でも平安時代には栽培されていました。東洋では、ステムレタス(山くらげ)のように利用法が変わっているものもあります。また中国や東南アジアではレタスを炒め物にするなど、料理法も西洋系とは違います。
食文化の再興や伝統品種の維持に絡めて、今後は東洋系のレタスにも注目があつまりそうです。
個人的に、もっと日本で東洋系レタスの栽培が広がり、消費者の皆さんにも受け入れられるようになると日本のレタスの世界がもっと広がると思います。レタスが大好きだったローマ人のロメインレタスのように、ジャパンレタスとでも呼ばれるものが産まれるかもしれませんね。
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